
「やっとスタートラインに立てた」。キャプテン清水栞選手が帰ってきた。開幕を控えた7月の練習中に左手の中手骨骨折のけがを負った。「調子が上がってきた中でのけが。キャプテンだからこそ、下を向いていられない。外から見えることを伝えようと早めに切り替えられた」。チームは勝ち点をしぶとくつかみ、清水選手も着々と復帰へのステップを進んできた。
前期ラスト2試合のタイミングで先発復帰。「昨年の4月以来、久しぶりの試合。楽しみな気持ちでどんどんチャレンジしようと思った」と挑んだINAC神戸レオネッサとの試合には0-2で敗れた。しかし、中4日で日テレ・東京ヴェルディベレーザとの試合が迫っていた。すぐに切り替え、挑んだ結果は2-1の逆転勝利。東京NB戦では実に4季ぶりの勝利だった。「周りからみたら劇的勝利かもしれないですが、自分たちがやってきたことを考えたら当然の結果。そのピッチに立てたことが嬉しい。忘れられない試合になりました」。清水選手自身、マイナビ仙台レディースに加入後、初めての勝利だった。
今季は大きな決意を胸にキャプテンに就任した。結果が出ず最下位に終わった昨季、経験豊かな選手が引退し、多くの仲間がチームを離れた。その中でチームに残り、その先頭に立つ決断をした。「キャプテンに選んでもらった以上は、総合力、チーム力を大事にしたい。若い選手が多い中、年上の選手が上手くバランスを取ってくれている。全てのポジションで良い競争があって、力は上がってきている」。誰より元気で、誰よりもたくましい主将が戻って来た。清水栞と共に、更なる高みを目指す戦いは始まっている。

