長船加奈選手が浦和で過ごしたのは24歳から34歳の10年間だった。「チームメートみんなの成長も見てきたし、自分自身も成長できた。チームとして強くなる流れを全部経験できたと思います」。タイトルを獲得し、けがも乗り越えた。赤いユニフォームを身にまとい、サポーターの声援を浴びながらサッカー選手としても、人としても、いろいろな経験を積んだ大切な時間だった。
「自分たちは流れが良くない中、ギリギリの戦いを勝っている浦和を迎える。2チームは対極にいると思いますが、勝つ気持ちで迎えたい」。今季、長船選手は大きな決意で仙台へ戻ってきた。課題となっていたチームの守備を立て直す救世主になるはずが、現実は甘くなかった。それでも強く前を向く。「やりたいこともチームとしてやるべきこともあるけれど、振り切って自分たちの良さをどんどん出していくしかない。守備で積み上げてきているものはあるし、割り切って勢いを持って戦いたい」。
共に切磋琢磨した仲間をホームに迎える。前期アウェーでの対戦は完敗。3連覇を目指す常勝軍団と、1つでも上の順位を求めてあえぐマイナビ仙台レディース。かつての同僚たちへ意地を示したい。「戦う気持ちを出していきたいし、試合を楽しみたい。前期の対戦も高橋はな選手とのマッチアップは、たくさんの駆け引きがあって楽しかった」。長船加奈、ここに在り。歩みを止めない35歳は力強く勝利を手繰り寄せる。