マッチデープレス vol.03

試合のみどころ Today's Highlights

勇気を持って這い上がる一戦
たくましさと戦う姿勢を見せる

 前節の日テレ・東京ヴェルディベレーザ戦はホームのサポーターの前で大量失点。涙の三連敗となった。前半は積極的な守備が機能し、主導権を握ることができた。しかし、相手が修正してきた後半は、カウンターから失点を繰り返してしまった。須藤茂光監督は「チャンスはなかった訳ではない。ゴールを奪えそうなシーンもあったが、ラストパスやタイミング、コントロールといったベーシックなところのクオリティーが足りなかった」と振り返る。ホームで同じような敗戦は繰り返したくない。
 選手たちも課題は理解している。「後半、上手くいかなくなった時に、ピッチ内で修正できなかったことが一番の敗因」と佐藤楓選手。チーム全体が前がかりになったところで、コミュニケーションも足りず、裏のスペースを狙われてしまった。「1対1でも簡単に振り切られた。強さを持つことも必要ですが、チャレンジ&カバーなど基礎を徹底していかないと難しい戦いになってしまう」と今足りないことを確認した。

 この一戦をスタンドから見つめた佐々木美和選手は「1失点目は不運もあった。後半立て続けに失点してしまった時に、誰が『挽回していこう』という雰囲気を出して声をかけていたか。気持ちが落ちていくのは仕方ないけれど、1点でも返すという気迫を見せる選手が必要だった」と感じた。「次節、攻めないことには勝利は引き寄せられない。試合に出るチャンスがあれば、ゴールを目指してチームを活気づけたい」と意気込む。

 今節の対戦相手は大宮アルディージャVENTUS。今季就任した柳井里奈監督は、2019年にマイナビ仙台レディースのアカデミーコーチとして育成に力を尽くした。現在34歳だが幅広い年代の選手を指導し、指導歴は早くも9年目を迎えている。選手それぞれが持つ力を引き出し、開幕から連勝を飾るなどその手腕に評価も高まっている。
 昨季まで仙台でプレーした船木里奈選手や西澤日菜乃選手、ベガルタ仙台レディース時代を支えた鮫島彩選手、上辻佑実選手、坂井優紀選手、井上綾香選手と“仙台ゆかり”の選手が多く在籍する。「大宮Vは勢いのあるチーム。その勢いをどう止めるか。前線には速い選手も多いので、声を掛け合いながら守りたい。船木(里奈選手)やイノ(井上綾香選手)は本当に速い。予測がいつも以上に重要になってくる」と佐藤選手は警戒を強める。
 早くも2023年最後のホームゲームだ。翌週に控える皇后杯に向けても、勝利で良い流れを作り出したい。試合後の悔し涙を、次こそ嬉し涙に。笑顔で喜び合う瞬間のため、90分間、挑み続けよう。